ヒョウちゃんや
内田百閒を気取るわけでも、ましてや自分の飼い猫でもないのだが、捜索願いや広告を出したい気分はよくわかる。
いったい、ヒョウちゃんは何処へ行ってしまったのか。
初めて出会い呼びかけられたその路地は、この数年間で両側の家が少しずつ、代わる代わるセットバックを繰り返し
道幅を拡げてきた。
ヒョウちゃんの飼われているお宅の塀の半分が姿を消し、お庭が丸見えになっていることに気づいたのは、一昨夜の
こと。ついにここもセットバックか…と思っただけで、そこに「暮らしが感じられない」ことには気づかなかった。
昨夜の帰り、母屋の一部を噛み砕いたままのユンボがお庭の奥に鎮座しているのを見て、嗚呼大変なことになった…
と、冒頭の気分に至ったわけである。
最後にヒョウちゃんの存在を感じたのは、昨年大晦日に年賀状を投函後に通りかかったお宅の庭の中を歩く鈴の音を
耳にしたとき。
最後にその姿を見たのは、飼い主のご老人が手押し車で朝のごみ出しをするのに並んでついてきて、路地から出てた
ところで鉢合わせ、すれ違いざまの「おはよう」に対して僕を見上げ「にゃ」と挨拶を交わした師走の初めのこと。
そのひとつき前の雨上がりの高山写真館からの帰途、僕の両脚の間を八の字歩きするのに合わせて慎重に歩を進めて
きたが、彼女のテリトリーの堺付近でリズムを崩した僕が彼女の足を踏んづけて飛び退かせてしまったことがあった。
そのときイワゴーさんを真似て呼び戻し仲直りできたと思っていたのが僕の一方的な思い込みでなくてよかった…と
胸撫で下ろしたことを、今でもよく憶えている。
でもやっぱり、しゃがみ込んだ僕の膝の上でのデレデレゴロゴロとか、初めてGXRで写真を撮らせてもらったときの
撮られっぷりだとか、二度目の撮影に臨んだ際、オートハーフSE路面落下事故でドン引きさせながらも関係を修復、
オープンエア・ネコカフェ状態でお腹一杯だったときのような触れ合いは、もう一度…いや、何度もまた味わいたいと
ずっと思ってきた。
あのとき、さらってウチに連れてくりゃよかったんだ…だなんて邪な考えは打っ棄ることにして、何処かで仮住まいを
経て、セットバックが終わって改築されたお宅に戻ってきて欲しいと、切に願っている。
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