オーバーパフォレーションすれすれ
On October 6th, 8th and 9th
OLYMPUS PEN-FT, F.Zuiko Auto-S 38mm F1.8 and FUJICOLOR C200,
scanned with OpticFilm 7600i Ai
ケースに仕舞う際にうっかりシャッターボタンを押してしまった無駄コマを除いて、シェイクダウンのPEN-FTに詰めた72枚
撮りフィルムは、おおむね狙いどおりの露出で写ってくれていた…のだが、戦前のバルナックライカによく現れるという
アンダーパーフォレーションならぬオーバーパーフォレションすれすれの位置に、ネガ全体を通じて各コマが露光していた。
上で参照したリンク先のブログでチョートク先生が取り上げているロバートフランク。高三のときに読んだアサヒカメラ増刊
「都市を視る」で初めてその存在を知るや、「へぇーカッコイイ!」と地下鉄丸ノ内線で新宿に飛んで、紀伊国屋書店洋書
売り場で写真集「THE AMERICANS」を買い求めた点では早熟だったずぶんだが、その中にアンダーパーフォレーション
の写真があったかどうかは記憶にない。ライブラリーから掘り出して、もう一度見返してみないと分からない。
閑話休題。
現在使っているフィルムスキャナーOpticFilm 7600i Aiに付属する35mm判フィルム用ホルダーは、ガッチリ位置決めする
ような造りではなく、実際のフィルム幅に対して零コンマ数mm程度の小さな"遊び"がある一方で、6コマ分の長さ方向は
事実上フリーとなっている。そのためスキャンを行う際は、取り込もうとするコマごとにホルダーを机に軽くトントン当てたり
しながらコマの収まりを微調整するのが常であり、そういった手間も含めてフィルムスキャンという作業を楽しんできた。
ところが今回のケースでは、どれだけトントン微調整して取り込んだところで、極端に上に寄ったコマの下に未露光部分が
細くて黒い横帯となって現れるだけ。とはいえ、パーフォレーションをも取り込んで表現しようなどというつもりはハナっから
なかったから、選んだコマの全体像をスキャンすることは諦め、最小限のトリミングに徹して取り込むと割り切ったまで。
「結界」に踏み込む前、父が臨終の前日まで四ヶ月余りを過ごした病室の窓あたりを、強張って痛む頸を堪え見上げた。
診察を終え病院を出ると、外濠沿いの土手に上がって、病室の父が最後に見ていた窓外の光景と同じアングルを探した。
縦桟で仕切られた細長い窓が並ぶ日仏会館の建物と、土手の下を往き過ぎる中央線の音。そのどちらも昔と同じであろう
筈はないが、もうしばらくの間ここに佇んでいたいという気持ちに身を委ねた。幼い頃は怖くて目を背けていた外濠の濃い
緑色をした水面に漣が立つのを、心地よく眺めていた。
牛込橋詰まで戻り、その先の通り沿いに外濠を背にして並ぶお好み焼き屋「れもん亭」か、父の見舞い帰りに母と通った
「天鴻餃子房」でお昼にしよう…と目論んでいたが、何もなくなっていた。店が並んでいた一帯は「石垣修復工事中」と
いう看板の掲げられた白い鋼鉄のフェンスで覆い隠され、その内側でタワークレーンが何やら立ち回っていた。
いかにも松本零士の描く未来都市に建っていそうな日本歯科大学のビルは、昭和四十年代に初めて目にしたときと同じ
ような佇まいでそこにあり、その石垣修復工事の様子の一端を鏡写しにして見せてくれた。幼い日の外濠アレルギーと
セットで記憶され、1969~70年頃に現れた建築物だと思い込んできた結果、その年代に対して強いコントラストを成す
ある種異様な存在感がより印象深く刻まれていたのだが、何と1974年の建築業協会賞を受賞なのだそうだ。
即ち、ずぶんが一旦東京を離れる前年かその前年に初めて相見えたというピンポイントな記憶なんだ、ずぶんの海馬よ。
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