写真展に、行ってこよう。
石内都作品展「tokyo bay blues 1981-1984」 - デジカメ Watch
その当時はカメラ雑誌なんか読んでなかったから、カメラ毎日での連載のことなどは知らなかったが、「写真装置」という
写真評論誌でスノビズムを決め込んでいたwから、石内都さんの存在と「連夜の街」の数カットは知っていた。
会期は2010年7月16日〜8月8日。開館時間は13時〜19時。会期中無休。会場のギャラリー蒼穹舎は東京都
新宿区新宿1-3-5 新進ビル3F。問い合わせはTel.03-3358-3974。
御苑前の駅のすぐそばらしい…って、こんなビルの中にギャラリーがあるのかw
「当然、モノクロだと思って撮り始めたら、急に『カラーページが使えるから、カラーでやらないか』って。
私はずっとペンタックスSVにモノクロ用レンズの28mmをつけて撮っていて、それでカラーを撮ってみるのも
面白いかもと思って、コダクローム64に変えることにしました」
ただあまり色は意識せず、モノクロと同じように撮影した。
「天気は気にしました。穏やかな日は避けて、雨とか大風、それかカンカン照りの日に出かけた。朝起きて、
雨だったら、『さあ、行こう』みたいな感じ。カメラに露出計はなかったので、すべて勘。できるだけ絞り
込んで撮っていたから、全体的に暗い調子になっています」
:
石内さんはモノクロで撮影した時は、すぐに現像とプリントを行なうという。
「撮影が苦手なので、プリントすることで、そこでもう一回考える。自分の記憶をプリントしているような
ものかな」
撮影枚数はできるだけ少ない方がいいというのが持論。少なければ隅から隅まで覚えられるし、凝縮でき る。
「私の場合の撮影は念写。念じながら1枚をさっと撮って、すぐに立ち去るのがいい。カメラは武器みたいな
もので、相手と対等じゃない。それを逆手にとることもないわけではないけど、私にとって、そこに楽しみや
恍惚感はない」
モノクロではフィルムの本数や時間を決めて撮影を行なっているが、このtokyo bay bluesは初めてのカラーと
いうことで、その制限をはずした。撮影枚数はトータルで8,000カットほどに上った。
「ポジをすべて見直したのですが、半分も覚えていない。メモ書きで撮影場所はかろうじて特定できたけど、
今、そこに行けといわれてもまったく分からない」
カラーリバーサルの現像、プリントは自分でできないため、記憶を焼き付けるプロセスをしていない。それで
記憶にとどまらなかったのだろう。
ただし、そうした軽みも写真の楽しさのひとつなんだと、最近、気づき始めたという。
「モノクロは、いつまでも自分の手から離れていかない。カラーのように、撮ってすぐに人の手に 委ねること
もいいのかなと思う」
気になるフレーズが随所にちりばめられているからかなり長く引用してしまったが、高校生だった頃、徹夜暗室でモノクロ
ネガをプリントに仕立てる楽しさと辛さを覚える一方、「撮ったとこ勝負(…たいていは負けだったが(爆))」のリバーサル
すなわちコダクロームの潔さにも惹かれたものだった。
とはいえ経済的な制約も厳然としてあったから大した場数は踏めなかったが、一枚一枚が貴重な経験に思えたことだろう…
と、まるで他人事を想像するようにしか書けないのは、そこからずいぶん遠いところへ来てしまったから。
一本または数本のフィルムという単位に気持ちの区切りを乗せきるようにして撮り、「脳内現像」に身を委ねながら日々を
過ごした後で上がりのスライドに対面したときに味わう喜びも戸惑いも敗北感も、今やなかなかに得がたい贅沢となった。
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