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May 29, 2008

ホモ・モーベンス

「ウェブ3.0と黒川紀章」佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 CNET Japan 2008/05/27

どうやら今の僕は"2.0の端くれ"を享受しているのかもしれない…という認識はあったが、
早くも提起されつつあるというその次の概念。…ソレ自体を理解しようとするのはさほど
難しくはなかったが、なぜソレと黒川紀章が併記されるの?…と読み進めてゆくと、瞠目。

つい先ごろ亡くなった建築家の黒川紀章氏は、1969年に「ホモ・モーベンス 
都市と人類の未来」という書籍を書いている。晩年は突如として都知事選に
出てみたり、髪を振り乱した風貌が奇人変人の雰囲気を醸し出して、奇行の
目立つオジイサンというイメージしか残っていなかったが、しかし若いころの
黒川紀章氏は本当にカッコ良かった。

この中公新書で出た「ホモ・モーベンス」も、1969年という時代に書かれたと
は思えないほど示唆に満ちた本で、現代都市で人が定着する生き方から、
いかにしてホモ・モーベンス(動く民)へと変化していくのかということが、明晰
な論理と自由闊達な筆で描き出されている。もちろん当時はまだインターネ
ットどころかコンピュータもろくに人間生活の中に入り込んでいない時代で、
「動く民」のあり方がいまのように情報のパケットを軸にしているのではなく、道
路交通や住居を軸にしている。そのあたりは黒川氏 の建築家らしさでもあり、
あるいは透明のチューブが都市の空間を縦横に走ると思われていた当時の
未来社会像を思い起こさせるようで微笑ましい。何しろ当時の黒川氏は、近い
将来人間はひとりひとりカプセルの中で生活するようになると考えていたのだ。
その哲学の表出が、かの有名な銀座八丁目の中銀カプセルタワーである。

さてこの本の終盤で、黒川氏は当時はまだ影も形も存在していなかった情報
社会の未来について、次のような仮説を立てている。これが驚天動地だ。実の
ところ彼は、無料経済とそれによる情報のフラット化、そしてウェブ2.0とその次
にやってくるウェブ3.0の世界を予測していたのだ。これらが書かれたのは繰り
返し言うが、1969年である。大阪万博の前年、まだ団塊の世代のオジサンたち
が20歳ぐらいで、石を投げて革命を叫んでいたころである。以下、引用しておこう。

…これ以上の引用は止しにしてw探してみようかしら、中公新書「ホモ・モーベンス」。

約四十年前、幼児だった僕が最初に出会った"未来予想図"は、「小学舘の図鑑『交通』」
に描かれていた"透明チューブの中を走る流線型トレインと空飛ぶキャデラック"だったが、
当時のワカゾーの中には"全共闘真っ盛り"な現実もあったりした…という対比に気づくと
今更ながら面白い。

その後、僕にとっての未来イメージは"アポロ月旅行"⇒"大阪万博"⇒"星新一のショート
ショートと真鍋博の挿絵"⇒…という変遷を辿るが、"情報社会"を現すメタファーとして
記憶にあるのは、せいぜい"ウルトラ警備隊の腕時計型TV電話"くらいじゃないだろうか。

…やがて、そうした"モノ"・"ノリモノ"・"タテモノ"を通して未来をイメージするような
志向がなくなってゆく一方で、そうとは意識しないまま、気がつくと情報社会の端くれに
身を置いている。目の前で働いていらっしゃるのは、当時のワカゾーだ。

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