流れない水は腐る
…といっても、柳 暖簾さんのような含蓄はなく、文字どおり"水"のハナシ。
日曜の夜半過ぎ、「NHKアーカイブス」の一本目が終わり、さぁ寝ようかと思ったところで
二本目の現代の映像「人か鳥か」に目が釘付けになり、結局徹して見てしまった。
現在湾岸道路や京葉線が通っている一帯が、かつて海面だったことなどすでに織込み済み
だったが、実際に「新浜」と呼ばれていた38年前の広大な三角州の映像を見たのは初めて
だった。ナレーションにもあったとおり、"豊葦原の瑞穂の国"という呼び名はこういう光景から
生まれたのだろうと感じられた。
しかし、高度成長期の紆余曲折を経た後に、現在では宮内庁御鴨場周辺と首都高千鳥町
ランプ付近との間の緩衝地帯として遺されているに過ぎない。谷津干潟と似たような現状だ。
そのことを僕は嘆いているのではない。
高度成長期まで農業や漁業で生計を立てていたにも関わらず、それを放棄せざるを得なく
なり、埋め立てやその後に続く開発に望みを繋ぐことにハラを決めた人たちの業腹な思い
が、番組冒頭に大写しになる「野鳥を葬れ」というペンキの落書きだった。
一方、野鳥保護の観点から埋め立てに反対する人たちの活動も描かれる。双方の葛藤を
浮き上がらせ、結論は下せないまま番組は終わる。
そして38年後、当時の女子大生が、現代においても(傍目には)同じようなスタンスで、
現状に対する"プロテスト"を続けている姿が描かれる。
野鳥保護・環境保護のスタンスに立つことは比較的容易いが、時代に飲み込まれ生計
の立て直しを迫られた人たちの視点からものごとを見るのは、なかなかに難しいと思う。
今回、そのことがちょっとだけ分かった気がした。
何はともあれ紆余曲折を経て、干潟は残った。散歩に出かけることも多いが、専ら寒冷な
季節の習慣であり、夏場は"臭気"を嫌って足が遠のいてきた。
汚水の流入がなくなって雨水を除いた淡水の供給が絶たれ、海水の塩分濃度が上がった
ことにより発生しやすくなったアオサの発する臭いなのだそうだ。
「6月10日"谷津干潟の日"」の催しを報じるCATVで、きょう知った。
流れない水を腐らせないために汗を流している人もいる。
「有り難い」だけで済ませたくはないとは思うのだが…
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