「"図版"は刷り直し中です」
…ということで残念!とすべきか、或いは、値も嵩も張るカタログを抱えて移動する
羽目にならず助かったと思うべきかちょっと複雑な気分(笑)だが、とりあえずコレは
ハライセに撮った会場内の写真などではない。
この写真展の主役が銀塩プリントではなく、60年前に撮影されスライドマウントされた
コダクロームをスキャンした画像ファイルを、大判インクジェットプリンタで出力したもの
であることはあらかじめ知っていた。
これは、オリジナルスライドがニューヨークのマグナム・フォトから門外不出であること、
そして、元々スクリーンに投影して楽しむために発明されたカラースライドをオリジナル
としてどう解釈して紙の上に再現するかに苦慮したことにより採られた手法とのことだ。
オリジナルを見たことがある主催者側の限られた人間の記憶とイメージに頼って調整し、
出力したという空の青さは、やはり印象的だった。それは、撮影地である大西洋、英国…
といった地域に特有の空の色だったのかも知れないが、僕にとっては、まだ見ぬ地の空を
イメージさせるというより、二十歳前後の頃に好んでよく撮った"コダクロームの空の色"
を思い出させてくれるような気がしたのだ。
だが、インドシナで地雷を踏んで亡くなる数週間前、来日して撮られた京都や東京の写真
に写っている空の色は、海外のそれとはやはり違って見えた。季節や天候のせいもあって
なのか、くすんだ、それこそハイライトのブルーのように見えたのだった。
会場にはこのほかにも、"演説するトロツキー"、"Dデイ上陸作戦"や"パリ解放"といった
代表作のモノクロプリントもあった。池袋西武だったか新宿伊勢丹だったかは忘れたが、
浪人中に観に行って目にして以来、二十年ぶりのことだ。
"Dデイ"は、現像から上がったネガを急いで乾かすため熱風を当てた際の不手際で感光剤
が部分的に溶け失われているという、二十年前には知らなかった経緯も踏まえて、改めて
見入った…。
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Comments
浪人中にキャパ展を見に行ったのなら銀座三越ではないか?って、いろんなところを凱旋したのかな。
Posted by: 柳 暖簾 | Feb 20, 2005 17:29
…そんな気もするし、新宿の三越なら何か観に行った覚えがあるし、小田急でも色々やってたし…うーん、
カタログが出てくれば当時の半券が挟んであるハズなんだけど、見つからない(苦笑)
Posted by: USHIO | Feb 20, 2005 20:38