第二十三号
…がやってきつつあるこんな夜にこそ、はっぴぃえんどの「颱風」
がかかればうってつけだったかもしれないけれど、300曲を超える
プレイリストの巡り合せはそうはならず、津田沼に着いた時点で
NOMADから流れるアルバムは、矢野顕子の「ピアノヤキコ」だ。
強まり始めた雨と風を少しでもやり過ごそうと、歩道橋を渡らずに
駅のすぐ前で地上に降りて歩き出す。
転がる歌声と踊るピアノの合間から、何だか聞き覚えがあるのに
久しく耳にしてない大きな声が辺りに響くのが聞こえてくる。
…80年代の新宿アルタ前や渋谷ハチ公前がフラッシュバックする。
…竿付きのラウドスピーカーを二発背負って歩く白人青年が甦る。
朗々と、かつ、単調に「聖書」を朗読するその声は、吃驚するほど
昔のままだった。録音されたモノならば当たり前なのだが、当時は
何となく「ナマの朗読を無線で"歩行スピーカー"に飛ばしている」と
思い込んでいたゆえか。
しかし、この土砂降りだ。第二十三号がやってくるというこんな夜、
"歩行スピーカー"クンは一体どこを徘徊しているのか?と訝しみ
恐る恐る歩を進めてゆくと、代ゼミの前付近に停まったミニバンの
屋根の上にラウドスピーカーが二発…
…と、朗読が途切れ、別の甲高い声が、シュプレヒコールのように
何かを唱える。…が、聞き取れない。…そして、朗読再開…
さらに歩いてミニバンに近づくと、車内にいたのはやはり白人青年。
要所要所でカタコトニホンゴながらもコメントをつけようとしている…
と見当がついて初めて聴き取れた一節…
「…ェス ワ、キセキ ヲ、…シ マシタ」
改めて言われなくても聞いたことはある。
「ムハンマド ワ、キセキ ヲ、シ …ナカタ、センソ ヲ、オコシマシタ」
あれあれあれあれ異教祖に言及するんですね。
「シンカ ロン ワ、マチガイ デス、デタラメデース…」
出たァ♪
サンペデックのこちら側まで歩いてきても、"朗々"と"カタコト"とが
相変わらず交互に響いて聞こえてくる。最後の角を曲がり水煙の
立ち込めるマンション前、植え込みからはまだ"気も漫ろ"が薫る。
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