地下鉄その二
駅の出入り口の上に立っている実物を、まじまじと見たことはまだ
ないけれど、ココで二人が見上げている「M」マークの青い地色は、
実際の電車に付いているソレにけっこう近いと思います。
駅貼りポスターに出てくる方の色は、いくぶん発色が鮮やか過ぎ、
僕の目にはステレオタイプな"スカイブルー"に映るんです。
東京メトロがこの青い地色に込めた思いはともかく、一月末頃から
旧「S」マークでマスクされた格好で各電車に仕込まれ徐々に増え
始めたこのマークが一斉に旧いマスクを脱ぎ捨て姿を現したとき、
僕は「あ…ハイライトのブルーだぁ」と思ったのでした。
時は80年代半ば、もはやちっとも軽くなんかなかったこのタバコが
確かまだ一ケ¥170だった頃、このパッケージは、あの和田誠氏の
デザインによるものなんだと友人から聞かされたときのインパクトは、
さしずめ「17へぇー」くらいでした。でも今やそれが、ぐぐってみれば
そこかしこで見かけるポピュラーなネタになっているんですね。
この色のモチーフとなったのは「60年代東京のくすんだ青空」だった、
と書き記したエッセーか何かを読んだこともあります。
でも、こっちのテキストは、いくらぐぐってみてもまだ見つかりません。
…そんなあれこれが、アタマの引き出しから顔を出します。
ハイライトそのものに思い入れはなく、吸っていたタバコも違うのに、
なんだかフシギなものです。
ここまでの僕の妄想を放し飼いにしてもよいのなら、こんな素敵な
アナロジーが成り立つことになります。
「…2004年の東京の地下を、60年代の青空を戴いた電車が走る」
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